最初に、分析計測工場におけるIT化の取り組みを振り返ってみよう。(図表1)

(図表1)分析計測工場の取り組み(イメージ)
同社では本社の情報システム部門が統括するメインフレーム系の基幹システムで、全社の生産管理および販売管理の各業務を支援する一方、各工場では個別のニーズに対応する分散用サーバーをそれぞれ利用してきた。
分析計測工場の場合は1985年にIBM8100を導入し、本社側の基幹システムと連携した「コンパス」と呼ばれるシステムをCOBOLで開発・運用し、生産の進捗管理など工場独自のニーズにきめ細かく対応してきた(その後、2003年にIBM iへ移行)。
しかし2006年に全社の基幹システムが再構築され、オープン系のERPソリューションである「Oracle E-Business Suite」に移行した。これに伴い、工場の分散系システムは全社システムへ統合し、将来的にはIBM iの撤去を視野に入れつつ、工場側での個別開発は凍結されることになった。
とはいえ、ERPソリューションでは各工場の独自ニーズにきめ細かく対応するのは難しく、どうしても全社基幹システムではカバーできない業務や機能が残ることになる。そこで同工場では、Windowsサーバー上でMicrosoft Accessなどを利用し、個別にプログラムを作成する動きが次第に顕著になっていったという。
しかしプログラム量が増えるにつれ、新たな問題が指摘されるようになる。
「プログラムを作成しているのは、IT担当の専任チームではなく、Accessのスキルがある各部門の業務担当者です。プログラムの増加とともにシステムは複雑化していき、全体を管理する担当者は存在せず、知識やスキルは属人化しがちです。開発者が異動・退職すると、引き継ぎや運用が困難になりました。またWindowsサーバーやOffice製品で発生するトラブルやバージョンアップへの対応など、将来的な運用性や拡張性にも疑問が投げかけられました」と語るのは、システムチームの責任者である松田学副課長(分析計測事業部 分析計測工場 工務課)である。
こうした問題の解決に向けて検討を続けた結果、同工場では2012年12月、IBM iを継続利用するという方針を決定し、新しいPower Systemsを導入した。さらに「IBM i上でもう一度、工場のニーズに即したシステムをきちんと作る」という目標のもと、2010年にいったんは解散していたIT担当のシステムチームを2014年10月、製造推進課に発足させた(その後、2015年10月に現在の工務課に異動)。
IBM iの継続利用とさらなる活用に向けて、同工場は本格的に動き出したのである。